所蔵 石川県埋蔵文化財センター

八幡遺跡出土  鉄釉香炉・暦茶碗・加賀三味薬薬合

公開状況
常設展示なし
時代
江戸時代(19世紀)
形態・種別
考古資料
地域
石川県小松市八幡

八幡遺跡は,再興九谷(さいこうくたに)若杉焼(わかすぎやき)関連の窯跡です。古墳の墳丘斜面に築かれた連房式登窯(れんぼうしきのぼりがま)1基と,その周囲の物原(ものはら)を中心に,遺物箱で5千箱を超える陶磁器,素焼品,窯道具,瓦類が出土しました。
鉄釉三足香炉の高台内には,染付で「天保三歳/施主橋本屋/安右衛門」と入ります。橋本屋は,金沢有数の陶器商で,若杉陶器所の窯元(かまもと)でもありました。1832(天保4)年に藩から「若杉」の名字名乗りを許されますが,その前年の紀年銘資料として貴重です。
暦茶碗(こよみぢゃわん)は,内外面に金沢発行の月頭暦(げっとうれき)を写しています。外面には月の大小に月初めの干支と主要暦註,見込は当年の恵方が「いねノ間/歳徳/万よし」と入ります。染付碗(写真右側)は「天保八年」(1837年),色絵碗(写真左側)は「嘉永五年」(1852年)銘があり,初釜などの縁起物に使われました。加賀藩の秘薬(ひやく)とされた加賀三味薬(かがさんみやく)の蓋付きの薬入れも出土しました。金沢片町で薬種業(やくしゅぎょう)を営む宮竹屋からの注文品で,身の側面に「金澤犀川宮竹屋亀田伊右衛門」,蓋には薬名の「紫雪(しせつ)/耆婆萬病圓(ぎばまんびょうえん)/烏犀圓(うさいえん)」が並びます。

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